1.序章
1−1はじめに
新企画として進めていたRPGのヤリ込みを掲載します.私が挑戦したのは,プレイステーション(PS)版「ファイナルファンタジー6」(以下「FF6」)の低レベル&オリジナルコマンド禁止3人クリアです.
(*)最初は「3人」とはしていませんでしたが,やはり3人でないと本格的なヤリ込みとは言えませんよね.
FF6は歴代シリーズの中でも,様々な楽しみ方がある事もあって未だ根強い人気を誇っています.一体何が魅力なのかというと,多数のキャラが個性豊かに活躍し,またそれぞれのキャラにドラマが用意されているというストーリーがまず挙げられるでしょう.そして,パーティメンバーをプレイヤーが自由に構成できるために,キャラの育て方が幅広くなり戦略性の自由度もかなり高くなっています.
FF6をメインに取り扱っているHPは数多くあるので(検索サイトで調べれば分かります)詳しい紹介はしませんが,筆者は歴代FFの中では最も時間を費やしてプレイしました.個人的に3,6,9と3の倍数シリーズに愛着を感じています.
10は予約して買ったにもかかわらず,他のゲームに浮気してしまっているため全然進んでいません.多分5カ年計画です.以降に至っては購入すらしていません(死).
さて時が経つにつれ,いわゆる「ヤリ込み」というプレイ方法が人気を得てきました.これは,最近のゲームが昔と比べてクリアするのにそれほど労力を要しなくなってきたことで,ヘビーユーザー(プレイヤー?)達の間で,普通にクリアするだけではつまらないから,ある限られた条件下でプレイしようという発想から生まれたものです.全員最大レベル,アイテム制覇,経験値&所持金カンストというのも立派なヤリ込みですが,本格的なヤリ込みはもっと凝ったものです.発端はおそらくFF5の「低レベルクリア」でしょう.この「低レベルクリア」というのは,RPGの根幹である
“敵を倒す→経験値&レベルアップ→より強い敵に立ち向かう”
という図式に逆らうプレイ方法です.つまり「どれだけキャラが弱い状態でクリアできるか」という挑戦をするものです.
今ではFFシリーズは,1回目は普通にクリアして2回目は低レベルでクリアするというのが基本になってきているようです.勿論,アイテムの特徴や敵の行動パターンなどを綿密に研究した上でなければ達成は不可能です.さらに大前提として,ストーリーを最初から最後まで全部把握しておく必要があります.遙か先のイベントやボス敵に備えて仕込みをしておく,ということもしばしばあります.
そして今回,私もその一例を造り上げようという意図により挑戦することにしました.
以下ではFF6に対象を絞って話を進めていきます.
以下,このページではコマンド・魔法・技の名前を「 」付きで,アイテム・魔石の名前を“ ”付きで表記します.
(例)「ファイア」,「自爆」,“ポーション”,“ラムウ”
1−2 今回のプレイについて
*以後の話はFF6を最低1回はクリアした事がある方に対象を限定します.
FF6のヤリ込みについては,現在以下のようなものが確立されているようです.
(1)低レベルクリア
(2)3人クリア
(3)魔法無しクリア
(4)低レベル&3人クリア
(5)低レベル&魔法無しクリア
(6)低歩数クリア
(7)低やりこみ度クリア(PS版限定)
(8)短時間クリア
詳しくはあちこちのHPに掲載されているので,各個人で探してみて下さい.
しかし,上のリストでは共通して使用が許可されているものがあります.それは,それぞれのキャラ本人だけが使えるオリジナルコマンドです.ここでは,そのオリジナルコマンドを封印し,なおかつ低レベルで,さらには3人でクリアしようというものです.
この方法では基本的に武器での攻撃と魔法しか使えないため,面白みに欠けるものです.しかし,普通にクリアするならまだしも,それを低レベルで達成するとなると話は別です.限られた方法の中でどれだけうまく戦うことができるかという話になってきます.勿論,敵の行動パターンやアイテムの特性を最大限に活かす必要があります.
それでは,具体的にオリジナルコマンドを封印するとどうなるのか,具体的に見てみましょう.
キャラ名 | オリジナルコマンド | 使用禁止に伴う障害 |
ティナ | トランス | ベクタ脱出後に使えるコマンドですが,これはそれほどきつい制限ではないでしょう. それ以前に殆ど戦闘に参加しないので,まともに使えません. |
ロック | ぬすむ (ぶんどる) |
これは結構きついです. 敵からアイテムを盗んで売却する事によりお金を稼ぐ,という事ができません. また,いいアイテムを隠し持っている敵もいるのですが,盗む事はできません. (実は解決方法があるので,盗む事は可能になります.) |
エドガー | きかい | 最終参加メンバーの1人です. 機械はすべて強力で,しかも常に有効性に富んでいるだけに致命的な制限と言えます. |
マッシュ | ひっさつわざ | 「オーラキャノン」などが非常に便利なのですが,使えないので序盤はかなり苦戦を強いられます. レテ川でのオルトロス戦がどれだけ厳しい事でしょうか. バルガス戦での「爆裂拳」1回のみ使用を許可します. |
シャドウ | なげる | 投げた武器は必ず命中し,しかもダメージが大きいだけあって,これまた厳しい制限です. “手裏剣”などの専用アイテムは持っていても無意味です. |
カイエン | ひっさつけん | 必殺剣はいずれも通常攻撃より威力があるので,かなり苦しい制限です. 特に,ドマでの隊長戦とバレンの滝でのリゾーパス戦が厳しくなります. |
ガウ | あばれる とびこむ |
ガウは「たたかう」コマンドが無いため,序盤は「あばれる」しか攻撃方法がありません. 完全封印するのはいくら何でも無茶なので,初期状態の9種類のみ使用を許可します. 「とびこむ」は,世界崩壊直前に1回だけ使用を許可します. |
セリス | まふうけん | 最終参加メンバーの1人です. どちらかというと防御系のコマンドですが,それでも封印されると辛いです. ディッグアーマーは武器での攻撃で倒す事ができなくなります. |
セッツァー | スロット (ぜになげ) |
最終参加メンバーの1人です. 無くても大して差し支えありません. 「ぜになげ」はギルを消耗する上に低レベルではダメージが小さいので役に立ちません. |
モグ | おどる | 踊りはランダム要素がかなり高いので,あまり信用ができません. しかし大して活躍の場は無いので,気にすることもないでしょう. |
リルム | スケッチ | 戦うのは西の山のオルトロス戦だけです. ここだけは特別許可しますが,失敗しても直接倒すことができるので問題ありません. |
ストラゴス | おぼえたわざ | いわゆる{青魔法}です.これは修得だけならば許可します. でも修得の機会さえ殆どありません.火事の家〜西の山以外は戦力外なので問題ありません. |
バナン (エキストラ) |
いのる | レテ川でのオルトロス戦が非常に厳しいです. バナンのレベルを上げておかないと勝つのは無理でしょう. |
レオ (エキストラ) |
ショック | 乱れ撃ちで攻撃できるのですが,やはりそれでは厳しいです. ケフカとの一騎打ちに勝てるかどうか・・・? |
特に,(ティナとセリス以外は)魔法が使えないゾゾまでが非常に辛いです.実質「たたかう」以外に攻撃手段が無いので大変です.
尚,イベント上どうしてもオリジナルコマンドが必要な場合は,その時のみ使用を許可します.
1−3 その他の禁止
さて,それ以外にも禁止事項はあります.大抵のヤリ込みでは禁止されているものですが,若干違いがあります.
・「バニシュ」+「デス」
もう知らない人はいないほどの有名な戦法です.透明状態のキャラにはあらゆる魔法が命中するという性質を利用した,反則とも言うべき瞬殺方法です.殆どのボスにも通用します.これの使用を許可すると,殆ど戦略性が消えてしまうので禁止します.「デス」以外にも「デジョン」・「グラビデ」・「トルネド」を使う方法がありますが,これも同様に禁止します.
但し,目的達成のための時間を短縮する場合は特別に許可します.崩壊前の眠れる獅子や崩壊後の魔法レベル90がこれに該当します.ボスの場合は完全禁止します.
・裏技
殆どの裏技はPS版では使用不能になっていますが,スーパーファミコン(SFC)版でプレイした場合でも裏技は禁止します.「機械装備」・「崩壊前に戻る」・「カイエン暴走」など様々ありますが,使用不可とします.裏技に関する詳しい解説については,本稿の範囲外なので省略します.
・瀕死必殺技
技そのものは禁止しません.但し{出るまでリセット}なる行為は禁止します.あくまで偶然出た場合のみ許可します.そもそも出るのを狙うのが鬱陶しいです.
裏技禁止と言いましたが,実は裏技まがいのテクニックを使用しています.それについては戦法の項目で述べます.
1−4 ザコ敵について
低レベルでゲームを進めていくので当たり前の事ですが,ザコ敵(ランダムエンカウントで遭遇するモンスター)からは基本的に逃げます.一部に倒しても経験値を獲得しないモンスターがありますが,そのモンスターは倒しても差し支えありません.獣ヶ原に出現するモンスターも同様です.
ザコ敵から逃げる方法ですが,基本的にL1+R1キーで逃げます.但し,アイテム“煙玉”を使えるようになったらなるべくそれを使う方が望ましいです.{先制攻撃}や{サイドアタック}の時はL1+R1キーで素早く逃げられます.
1−5 経験値について
FF6には経験値初期化という内部処理があります.これはキャラが全部で14人もいる上に,一部のキャラはストーリーの都合で一時的に戦線離脱するので,何らかの内部処理を施さなければキャラ間のレベル差が開きすぎてしまう場合があるわけです.そのためレベルと経験値について次のような処理を行います.
(1)離脱したキャラが戦線復帰する際に,他のキャラ全員の平均レベル(端数切り捨て)まで自動的にレベルアップさせる.平均以上の場合はレベルを変えない(下げない).
(2)経験値はそのレベルでの最低値に戻す.
ですから,例えばあと少しの経験値でレベルアップする状態のキャラが上の処理を受けると,経験値が下がるという現象が発生するのです.FF6において経験値が下がるという現象はこれ以外にありません.通常のプレイでも,ある程度レベルアップしてから全滅してゲームオーバーになってもレベルと経験値はそのままで再スタートします.
そしてこれを利用してレベルアップを防ぐ方法が確立できます.イベント中,経験値を持っている(なおかつ逃げられない)敵との戦いで,経験値初期化処理が行われるキャラにレベルアップ寸前まで経験値を獲得させておいて,後でその経験値を帳消しにするというものです.
また,上にアクセントをつけて表示してある他のキャラとは,ナルシェや飛空挺でのパーティ編成時に表示されるすべてのキャラを言います.これにも1つミソがあります.
獣ヶ原でガウを飛び込ませてからそのまま飛空挺やナルシェに戻りパーティを再編成しようとすると,編成画面でガウが表示されません.当たり前ですね.という事は,強制的に獲得してしまう経験値を全部ガウに与えて,経験値初期化処理が行われる寸前にガウを獣ヶ原に飛び込ませて他のキャラの平均レベルを下げるという方法が確立できます.実はこの方法は,世界崩壊直後のセリスをLV6にするためにどうしても必要なのです.これについては後で計算式をご覧に入れます.
尚,ガウに「とびこむ」を使わせるのはこの時1回限りです.
1−6 戦法
ここではボス敵及びイベントモンスターと戦う場合に限って述べます.
・「コンフュ」+“煙玉”
味方の誰かにコンフュをかけて混乱させ,その混乱したキャラが敵に“煙玉”を使って,敵を逃走させる方法です.逃げられない敵には無効ですが,覚えていて損はありません.
・魔法回避率129
これが反則まがいの方法で,巷では{Vコーディ}と呼ばれています.
実はFF6には根本的に大きなバグがあります.メニュー画面で表示される各キャラの様々なパラメータのうち,{回避率}(=物理攻撃の回避率)は全く無意味なものです.物理攻撃も魔法攻撃も{魔法回避率}で回避の判定を行います.従って例えば,{回避率}だけを上昇させる“見切りの数珠”は意味のないアイテムです.
これを利用したのが以下のような方法です.
“フォースシールド”などを装備して{魔法回避率}を大幅に上昇させると,物理・魔法ともに回避率の影響を受ける攻撃を高い確率で回避できる.特に魔法回避率が129以上になると,回避率に影響される攻撃を100%回避する.
ですから,回避率無視の攻撃を一切行わない敵に対しては無敵になれるのです.たとえ魔法回避率129が実現できなくても,100程度あれば相当の確率で回避できます.いずれにせよ,魔法回避率を上昇させておく事は実用性に優れていると言えます.
1−7 ステータス異常
敵はダメージを与える攻撃の他にこちらに様々なステータス異常を発生させる攻撃も仕掛けてきます.混乱・睡眠・バーサクなど戦闘終了と同時に解消されるステータス異常は何とかなりますが,毒・カッパ・暗闇など戦闘終了後も持続するステータス異常は少々厄介です.これらのステータス異常はいずれもアイテムを使えば回復できるのですが,元々低レベルで進めている上,敵からアイテムを盗む事も禁止されているため,お金を貯める事ができなくなっています.つまり,予めお金を稼いでおいて回復アイテムを大量に購入するという方法が使えません.
不景気な上に不経済な事はしたくないものです.そこで{アクセサリー治療法}を知っておくと便利です.アクセサリーには特定のステータス異常を防いでくれるものが沢山あります.例えば“星のペンダント”は「毒」状態を防いでくれます.メンバーが「毒」状態になった時,“星のペンダント”を装備すると,「毒」状態は回復します.
この機能を利用すれば,移動中は“毒消し”を使う必要がなくなり,使用回数も大幅に減ります.アイテム,ひいてはお金の節約にもなります.序盤で有効な方法です.
1−8 属性について
これはFF6の基本事項なのですが,シリーズの他作品と微妙に異なるので,ここで詳しく記述しておきます.
防具の中には特定の属性を防ぐ能力を持っているものがあり,アイテム欄で確認できます.属性防御には{吸収}・{無効}・{半減}・{弱点}の4パターンがあります.そしてこれらのパターンが重複した場合,{吸収}>{無効}>{半減}>{弱点}の優先順位で属性防御が確定します.この事は,複数の属性を持つ攻撃を受けた時に受ける影響を把握できます.
例えば,“フレイムシールド”を装備した状態で「フラッシュレイン」(女神が使ってくる)を受けた場合について検証します.“フレイムシールド”の属性防御は
吸収:炎
無効:氷
弱点:水
です.
一方「フラッシュレイン」は氷・水の属性を持っています.
つまり,{無効}と{弱点}が重複しています.この場合は{無効}の方が優先されるので,「フラッシュレイン」を受けてもダメージは0となります.
属性防御は2つ以上の防具で異なっていても,それに関係なく同じ法則が適用されます.例として,“アイスシールド”と“ミネルバビスチェ”を装備している場合について考えます.“アイスシールド”は風属性が弱点です.一方“ミネルバビスチェ”は風属性を無効にします.この状態で風属性の「エアロガ」(鬼神が使ってくる)を受けると,ダメージは0です.何故かというと,{無効}の方が{弱点}よりも優先されるからです.
このように,属性防御に関する法則は特に低レベルでゲームを進める上では絶対に把握しておかなくてはなりません.
1−9 ここで一応締め
とりあえず,大まかな事項は以上でしょうか.他にも気づいた点があれば順次追加していきます.ではいよいよ攻略に入ります.