ゲーム偏差値


 このMBJにはゲーム偏差値(Game Deviation Value:以下「GDV」)という機能が付いています.

 それまでのアクションゲームにおいて,プレイヤーの腕前を評価する要素といえば,せいぜい得点かクリアした面数程度でした.これに対してGDVは得点や面数のみならず,ゲーム中に満たした色々な条件を数値化して総合的にプレイヤーの腕前を評価するために導入されたものです.

 ここで“偏差値”というものがよく分からない方のために解説しておきます.数学的に解説すると複雑なのですが,平たく言うと“自分がその集団の中でどれだけ優れているかを数値化したもの”です.

 分かりやすい例を挙げましょう.あなたがある試験で100点満点中90点を取ったとします.これはこれで優秀な成績です.でも他の人が95点や100点ばかりだったらどうでしょうか.そう,簡単に100点が取れるような試験で90点“しか”取れなかったことになりますね.つまり,あなたはこの集団の中では“優秀ではない”と見なされ,高得点を取ったのに偏差値は低くなります.

 GDVもこれと同じ考え方で計算するもので,単に得点が高いだけだったり,先の面へ進んだりしただけでは上級者とは見なされないということです.こうしてGDVはプレイヤーの真の腕前を表す画期的なシステムとして注目されました.

 ところが,このGDVは世の中に広まることはありませんでした.以後は同じテクモが発表した「ソロモンの鍵」に引き継がれただけで,あっという間に廃れてしまいました.というのも,この後ファミコン界は「ドラゴンクエスト」をはじめとするロールプレイングゲームに席巻され,GDVなど無用の長物と化してしまったからです.

 とはいえ,ゲームオーバーになった時に表示されるGDVがいくつになるのか,独特の緊張感が最後に味わえるので,やはり面白いシステムと言えましょう.




ちなみに,取扱説明書には次のように評価が書かれています.

GDV=75〜
素晴らしい!まさに天才です記憶力,判断力,応用力,反射神経共に言うことナシ!あとはさらに完璧なプレイを目ざして楽しんで下さい.この調子で学校のテストもがんばって下さいネ!

GDV=71〜74
普通の人はここまでくればもう“名人”の部類.とにかく,あなたの頭脳はコンピュータに勝るとも劣らない実力を持っています.普通でない人は75に挑戦して下さい.それはもう神の領域.

GDV=67〜70
あなたはもう上級者の仲間入り!でもここから上に行くには容易な事じゃないゾ!マップを作る等,くふうをこらしてがんばってみて下さい.マイティコインであなたの頭脳もパワーアップしてみたらいかが!

GDV=63〜66
中級の腕前!上級への壁は厚くて険しいヨ!でもあきらめないで下さい.もう少し迷路や隠しキャラを研究して再挑戦をくりかえせば,きっと道は開けます.爆弾の順番を憶えるといいカモ!

GDV=59〜62
かなりなれたと言ってもまだまだ初歩的なミスでやられるんじゃないカナ!?コントロールテクニックを身につければ,もうすこし上にあがれるはずです.あとは君の頭脳の記憶容量の問題です.

GDV=55〜58
初級合格のあなた.でもまだまだ勉強が足りませんゾ!記憶力,反射神経,コントロールテクニック,何が欠けているか考えてみて下さい.無理をしないで慎重にやればきっと60以上に上がれるヨ!

GDV=48〜54
とにかくゲームを何回もやってジャックを自由にコントロールできるようになる事が先決です.もうすこし上の偏差値が見られるようになるまでガッツで挑戦して下さい.


・・・だそうです.
実を言うと,GDVは100以上にもなる(実際の学力判定などに使われる偏差値では通常ありえない)のですが,これについては詳しく解明する必要があるようですね.


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